感想（幻視同盟）

　さてさて、ということで、閑話という扱いの物語。

　この物語の主人公は、月姫ヒロインの一人「遠野秋葉」の通う、浅上女
学院の中等部に所属する「瀬尾あきら」という女の子。

　ちょっとショートな髪で、外見は男の子っぽいけど、ちゃんと中身は女
の子という、少なくとも月姫の中では、まともな登場人物の一人。（って、
ファンに怒られるな、こりゃ）

　まあ、唯一異質な所といえば、「未来視」という特殊能力を持っている
ことでしょうか？（だけど、断片的なものが多い）

　あ、あと、もう一つあるか。盆と暮れは有明で同人誌売るのが日常だと
か。（って、まあ、らしいキャラというか・・・）

　学校では、その愛くるしさからか、「秋葉」に虐められることが多く、
彼女も「秋葉」のことを恐れていたりもする。

　といっても、この物語の中では、「秋葉」との絡みは一回しか無いです
けどね。（しかも、電話で）

　ということで、そんな小動物系な彼女の、とある事件の物語です。

感　想

　物語は、「あきら」と月姫の我らが主人公「遠野志貴」の二つの視点で
進められていきます。（と言っても、あとで大どんでん返しがあるんだけ
ど）

　志貴が街を歩いてると、いきなり叫び声。

「人を殺しちゃ駄目！」

　周囲の視線が一人の少女に向けられて、その少女が自分の言葉に、おろ
おろとしてる所を、志貴君が喫茶店に拉致（笑）して話を聞くことに。

　ここで、視点が「あきらちゃん」に変わる時があるんですが、おおっと
初めて志貴の姿が登場。こんな顔してたんだね。
（って、これも実は後で・・・）

　さて、話を聞くうちに「あきらちゃん」は、近くにいる人の未来を見る
力を持っていることが判明。ただ、毎回見るわけじゃなくて、ふいにその
力が発動して、「見えてしまう」ことらしいと。

　とまあ、我らが志貴君は、そんな彼女に今後の危険性を指摘します。

　ようするに、人殺しが人を殺す所を未来視してしまったわけですから、
下手すると彼女が狙われる可能性もあると・・・

　そんなこんなで我らが志貴君は「あきらちゃん」の為に、その殺人鬼を
探すことに。（でもね、コイツ実は・・・）

　そんなこんなで物語が進んでいくうちに、「あきらちゃん」は何と志貴
の未来を見てしまいました。

　それは、「学生服」を着た少年に志貴が刺されるという未来。

　でも、それを打ち明けられないでいる彼女。それでも何とか伝えようと、
電話で志貴の家へ連絡を入れることに。

　この時、何故か電話に出たのが「秋葉」だったのが笑えました。

　後輩である「あきら」が、自分ではなく兄の「志貴」を呼び出したこと。

　受話器を通して聞こえてきた、「秋葉」の持っている受話器にひびが入
る音は何とも愉快。（相変わらず、兄ラブ＆嫉妬の鬼な秋葉だなぁ）

　しかも、タイミングよく、その受話器越しに聞こえてきた「ただいま〜」
という志貴の帰ってきた声。

　でも、「夜、外に、特に学校には近づくかないで」というメッセージし
か伝えられませんでした。（え〜、この後、「遠野家」で、兄と妹の凄ま
じい攻防戦（いや、妹の一方的攻撃か？）が繰り広げられたんでしょうね。
きっと・・・物語にはなかったけどさ）

　しかし、そうこうするうちに物語は終盤に・・・

　結局、彼女の未来視の通り、人が二人殺されてしまい、そして志貴は彼
女が止めるのも聞かず、彼女と一緒に学校へ。

　でも、この時の志貴の様子がちょっと変。

　何故ならそれは・・・偽物だったから。

　いやぁ、これにはプレイしてるこちらもびっくり。すっかり騙されちゃ
いましたね。

　まさか、志貴だと思ってたのが、まるで違う人物で「殺人鬼」その人だ
ったなんてさ。

　結局、「あきら」ちゃんが口封じの為に殺されそうになった所に、我ら
が本物の主人公本物の志貴君登場。

　覚えのない相手から掛かってきた電話を気にして、探しに来るなんて、
さすがヒーローは出を心得てますよ。（笑）

　さてさて、ただ殺人を楽しむだけの人間と、天性の殺人鬼である志貴の
戦いは、あっさりと決着。彼女の未来視の通り、学生服を着た少年「志貴」
に、偽物志貴が刺されておしまい。いや、刺してないけど。（気絶させた
だけだし）

　で、物語はそのままラストへ。

　最後に別れる時、本物の志貴の未来を見てしまった彼女。

　それは、「秋葉」と自分を含めた三人で、何かをしている姿。

　別れ際に、これから始まるおつき合いを予感（というか実際に起こるん
だけど）させる終わり方でしたね。

最後に

　ということで、閑話が終了。

　やっぱり、卓越した文章とシナリオ構成で、短いけど良い物語りに仕上
がってますよね。

　人の死を見る志貴の「魔眼」。

　そして、人の未来を見るあきらちゃんの「未来視」。

　幻視同盟というタイトルは、ここから来るんでしょう。

　中々、面白い物語でした。（偽志貴にはすっかり騙されたし）

　ちなみに、「あきら」ちゃんは彼女の未来視の通り、次回作にも登場。

　中々いい味出してますね。

　可愛いって感じじゃないけど、こういうのを妹って言うんだろうなぁ。