感想（秋葉）

　本作サブヒロイン、ただし裏シナリオである「遠野家」ルートではメイ
ンヒロインと言ってもいいくらいのヒロイン。

　主人公「遠野志貴」の妹で、体の弱い兄に変わり、遠野家当主となるべ
く徹底的な英才教育を父より施される。

　分家筋に預けられていた志貴を、実家である遠野家に戻したのも、父の
後を継いで当主となった秋葉の力によるものであり、おそらく遠野家の中
で最高の権力を誇る。

　性格は英才教育のたまものなのか、一家の頂点に立つ人物としての威厳
と知性に溢れる・・・と、言えば聞こえはいいのだが、まだ高校生の身で
ありながら、そんな人物に育てられてしまった故に、年齢から来る可愛さ
等欠片もなく、分家で自由奔放に育てられた志貴に、何かにつけて文句や
お説教をするという、およそこの手のゲームの妹キャラ設定をぶち破った
厳格な女の子となってしまった。

　しかし、兄「志貴」を思う心は誰よりも強く、時折見せる「妹らしさ」
から、彼女自身が隠している本当の姿を想像することが出来る。

　それは、シナリオが進んでいくと判ってくるのでお楽しみといった所。

感　想（前半）

　このシナリオは裏ルートとされる「遠野家」ルートなので、序盤は今ま
でと違った展開が待っている。

　まず、表ルートでは殆どお目にかかれない「弓塚さつき」なる女の子の
登場。

　ずっと昔から、志貴のことが好きだったけど、今までずっと言い出せず
にいた。それは、志貴があまりにも自分と違う世界の人間だから。

　この「弓塚さつき」は、志貴の中にある殺人衝動に、何となく気が付い
ていたんでしょう。

　だけど、彼女は諦めず、何とか志貴と同じ世界の人間になろうとする。

　何故、それほどまで志貴に愛情を寄せるかは判らないけれど、彼女はそ
れほどまでに愛する人を強く思う気持ちを持った女の子なんでしょう。

　しかし、それがそもそもの間違いの始まりだったと。

　街で起こる吸血鬼事件。そして、その事件の一端を担っていたのが彼女
で、そうすることでやっと志貴と同じ世界の人になれたと思いこむ。

　そして、志貴を自分のものにするために、志貴自身をも襲うことに。だ
けど、まだ目が開いたばかりの赤子である彼女が、志貴と対等に戦えるは
ずもなく、最後は志貴自身の手によって葬り去られてしまう。

　とまあ、前半はこんな形で終了。ちょっと表ルートよりは、前半が短め
かも。

　でも、志貴のことを思う彼女の心・・・吸血鬼になってまでも、志貴と
一緒にいたかったという思い。

　一途さも、ある一定の領域を越えると「狂気」に変わるということを示
した感じのシナリオでしたね。

　だけど、この時点でまだ謎は残っています。

　そう、「弓塚さつき」を、吸血鬼にしたのは何処の誰なのか？

　物語は、怒濤の後半へ突入します。

感　想（後半）

　さて後半。

　平穏な日常が帰ってきたと思いつつも、自らの手でクラスメートでもあ
り、自分のことを慕ってくれていた「弓塚さつき」を葬ってしまった志貴
は、思い悩みながら日々を過ごすことに。

　そんな志貴を見るに見かねたのか、屋敷では歓迎会を開くことに。この
時、お酒に酔った秋葉がちょっと可愛いかも。（ただし、未成年にお酒は
駄目よ）

　そして、次なる展開で、何と秋葉が志貴の学校に転校してくることに。

　何で転校してきたのかと、無粋なことを聞く志貴だけど、あんたそれく
らい察しろよと言いたくなるくらい、この志貴って鈍いよな。

　だけど、そんなドタバタの展開の中で、何とも言いようのない感覚を覚
え始める志貴。

　まず、所々で起きる目眩とフラッシュバック。過去の忘れられた記憶と、
それにまつわる自分自身が忘れていること。

　そして、毎夜毎夜、何故か殺人を犯す夢を見始める辺りから、志貴自身
の精神が徐々に不安定になっていく。

　当然、「弓塚さつき」の件が、全ての引き金になってるんでしょう。

　そんな中、ついに現れる大ボス、「遠野シキ」。表ルートでは、アルク
ェイドに抹殺されるはずの彼は、裏ルートではその自我を持ったまま、ま
さしく復讐の鬼と化して志貴の前に現れる。

　「弓塚さつき」を吸血鬼にしたのも彼の仕業。それは、過去に起きた出
来事によって、全てを奪われてしまった志貴への復讐。

　そして、明らかになる志貴の秘密。

　秋葉が何故、志貴を兄として慕い続けたのか。

　志貴とシキの関係は。

　それらが全て明らかになっていく中で、ついに戦いが始まる。

　けれど戦いが終わった時、全てが手遅れだった。

秋葉・ノーマルエンド感想

　壮絶な戦いの末、シキを倒した志貴。

　でも、秋葉は「遠野の血」に目覚めてしまった。

　元々遠野の血を強く持っていた秋葉は、シキ以上に強力な吸血鬼として
目覚め、自我さえも崩壊してしまった。

　そして、そんな秋葉の面倒を見続ける志貴。

　自分の血を秋葉に吸わせること。それが、今まで遠野家当主として、が
んばってきた秋葉への贖罪。

　このエンドを迎えた時、正直言って「こんな終わり方ありかよ」と思い
ました。

　いえ、個人的にはかなり好きな終わり方（私は悲劇好きです）なんだけ
ど、シナリオを作るのとやるのとでは、やっぱり感じ方が違いますね。

　志貴も、秋葉の思いを受け取ったからこそ、自らの血を捧げ続ける。

　でも、この兄妹は、この後どうなるのでしょう？

　何とも、考えさせられるエンディングでした。

秋葉・トゥルーエンドエンド感想

　壮絶な戦いの末、自分が何故今を生きているかを知ってしまった志貴。

　そして、「遠野の血」に目覚めてしまった秋葉を元に戻すには、自ら
の命が必要。

　残される秋葉の心を思いつつも、志貴は秋葉に命を捧げることに。（
捧げると言うより、返すなんだけど）

　そして、全てが終わり遠野家に平穏な日常が帰ってくる。

　でも、秋葉にとって、ちょっとだけ変わってしまったのは、兄という
存在がいなくなってしまったということ。

　「遠野の血」に目覚めた自分を、命をかけて救ってくれた兄「志貴」。

　秋葉にとって、幼い頃から慕っていた兄は「志貴」であり、それは兄
と妹という関係さえも飛び越えてしまう程の思いの強さだった。
（まあ、実際には理由があるんだけど・・・この兄妹には）

　ということで、寂しさを感じつつも日常に一人で戻っていく秋葉。

　そして、エンディング。

　この終わり方も、私的には好きな終わり方。でもね、残された相手の
気持ちを考えると、釈然としないものが残りますね。
（自分で作るのと、やるのとは違うってつくづく思います）

最後に

　ということで、秋葉シナリオを終了。

　素直な気持ちを伝えられず、それでいて兄を愛し続けた秋葉。

　実は、私にとって妹キャラのイメージってこういうのが強かったり。
（ええ、私にはこんな妹がいますので、はい）

　だけど、実はまだ謎が残ってるんですよ。

　シキが何故現れたのかとかね。

　これは、今後のシナリオで明らかになるんでしょう。

　裏ルート・・・長そうです。（キャラが一人多い分ね）