感想（翡翠）

　本作サブヒロイン。孤児であった幼い頃に、双子の姉である「琥珀」と
共に、主人公の父である「遠野槇久」に引き取られ、以後屋敷の住み込み
メイドとしての人生を歩むことになり、主人公「遠野志貴」が屋敷に戻っ
てきてからは、志貴専属のメイドとなる。（名字は不明）

　性格は、どちらかといえば大人しく、無感情・無表情・沈着冷静という
感情表現の乏しい娘なのだが、それはあくまでも外見上だけの問題で、結
構あちらこちらで、さりげなく感情を顔に出すことがある。

　一応、志貴専属メイドではあるが、屋敷内の掃除や管理等も手がけるの
で、かなり忙しい人。しかし、何故か料理は苦手。

　志貴に対しては、ほのかに愛情を持っているようで、所々で助けてもく
れる。（アルクェイド・シエルシナリオなどでは協力的だったし）

　が！　何故か「男性嫌悪症」という、とんでもない生理的症状を持って
おり、志貴専属とはいえ体には触れることも出来ない。

　あと、ここでもう一人、お姉さんである「琥珀」さんのご紹介もしてお
きましょう。

　何故かというと、このシナリオは一応「翡翠」シナリオなんですが、あ
えて言うなら、「翡翠・琥珀」シナリオと呼べるべきものであり、この双
子の「翡翠」寄りに物語が進むからです。

（でも、どちらかというと「琥珀」さんの方が存在感あるんだけど）

　ということで、双子の姉「琥珀」さんのご紹介。

　こちらも、本作サブヒロイン。遠野家に来る経緯は「翡翠」と一緒で、
普段は主に家の家事をこなしたり、広い屋敷の警備などを担当しています。

　でも、何故か掃除は苦手で、彼女が掃除をすれば家が壊れるというくら
い下手。実際に、高価な壺とか花瓶とかをあっさりと破壊した実績がるの
で、掃除をする時は主に家の外だけを任されることに。

　性格は、妹の「翡翠」と正反対で、常に明るく、にこにこと笑みを絶や
さず、間違ったことをすれば叱ってくれるという、どちらかといえばお姉
さんといった感じ。

　おそらく、遠野家においてその全てを把握してるのは、彼女であると言
っても過言じゃないくらいの人。

　さて、この二人の「翡翠」寄りの物語がどう進んでいくかと思ってまし
た。でも、終わった時、とんでもない心境になるとは思いもよりませんで
した。

　ということで、感想をどうぞ。　

感　想（前半）

　さて、このシナリオも裏ルートである「遠野家」ルート。しかも、例に
よって前半・後半と別れるんだけど、序盤は「秋葉シナリオ」と同様に、
「弓塚さっちん」（笑）のお話から始まるので割愛しようかと思いました。

　でも唯一違う点、吸血鬼の血を殺す部分があるので、その部分の解説を
ちょいとしましょう。

　これは吸血鬼が仲間を増やす時の一般知識（どういう知識だ）なんです
が、吸血鬼に血を吸われた相手は、必ずしも吸血鬼になるわけじゃありま
せん。

　吸血鬼は血を吸った相手の中に自分の血を混ぜることにより、その相手
を支配し、死徒として使役が可能な新たなる吸血鬼を生み出します。

　この辺り「吸血姫美夕」を読んでると、似たような描写とか言葉がある
から知ってる人も多いかも。（もっとも、美夕読んでる人が、この文を読
むかは疑問だけどね）

　で、今回、主人公「遠野志貴」は、「弓塚さっちん」（この呼び名、い
いなぁ）に、血を混ぜられてしまいました。

　さあ、このままでは、志貴君は「さっちん」に使役される吸血鬼となっ
てしまいます。

　が、志貴君はとんでもないことをやってくれました。

　彼が持つ特殊能力、物が壊れる線を見る力。いわゆる「直死の魔眼」の
能力により、自らの体内に進入した「さっちん」の血を、自分の手でナイ
フを刺し、殺してしまいました。（血を殺すって、凄いよこいつ）

　これで形勢逆転。自分の物にならない志貴を「さっちん」は半狂乱にな
って問いつめますが、それももはや後の祭り。

　秋葉シナリオ同様、志貴君の手によって葬り去られてしまいました。

　彼女は序盤のみの登場ですけど、いいですよね、こういう存在感のある
子って。

　もう少し、出番があればとか思ったり・・・

　何だか話が脱線してきたので、後半の感想に移りましょう。

（何だか、この前半の感想、説明文のノリが妙に軽いなぁ）

感　想（後半）

　さて、後半です。

　秋葉シナリオと同様、平穏な日常が帰ってきたと思いつつも、自らの手
で「さっちん」を葬ってしまった志貴は、思い悩みながら日々を過ごすこ
とに。

　そんな志貴を、翡翠が親身になって心配してくれます。

　その時、ふと志貴の脳裏に子供の頃の思い出が浮かびます。

　子供の頃、この遠野の屋敷で、よく遊んだ元気な女の子。そして、その
遊んでいる姿を屋敷の中から、寂しそうな目で見つめる、もう一人の大人
しい女の子のこと。

　ふいに、その二人の女の子が、「琥珀」さんと「翡翠」だと思った志貴。
　そして、更に思い出す記憶。遠野家から分家に預けられる際に、その大
人しい女の子から、別れ際に無言で「白いリボン」を手渡されたこと。

　そのリボンは今も持っていて、それをいつか彼女に返そうと思っていた
志貴。

　でも、その返すべき相手は誰なのか？

　屋敷を見ると、昔の面影が残る「琥珀」さんと「翡翠」の二人の女性。

　昔から、住み込みで働いてるこの二人を見て、志貴は昔一緒になって遊
んだのが「琥珀」さん。そして、屋敷の中から見つめていたのが「翡翠」
だと思い、「翡翠」にリボンを返しました。

　とまあ、この辺りまでは、のほほんと話が来てますが、実はそれじゃす
まないことが志貴自身に起こりつつありました。

　毎夜毎夜、見る殺人の夢。

　自分が街に出て、人を殺して回る夢を見続け、また、時折「琥珀」さん
とも「翡翠」とも思える女性を陵辱する夢さえも見て苦しむ志貴。

　更に、追い打ちを掛けるように報道される、吸血鬼事件のこと。

　犯人である「弓塚さつき」を殺したのに、何故吸血鬼事件が起こるのか。

　そして、ある日から、志貴の体は徐々に動かなくなっていきました。

　初めは、自らの虚弱な体質による一時的なものだと思っていた志貴。け
れど、日が経つにつれ、どんどん動かなくなっていく体。

　はい、この時点で、プレイしてる私は既に何が何だか理解出来なくなっ
ていました。

　もう、物語にどっぷりって感じなんだけど、何故そうなるのかがまるで
見えてこない。

　この辺り、シナリオ構成のうまさを感じます。

　ということで、話を戻しましょう。（この辺りから、物語が核心なので、
出来るだけネタバレ無しで行きます）

　さて、志貴がそんな状態のおり、妹の秋葉と「琥珀」さんが何やら密談
をしていました。

　それは、遠野家当主としての役割を果たすということ。

　そして、その標的は・・・当然、秋葉シナリオでもご登場の、大ボス、
「遠野シキ」。今回は、更にイカレタ状態での登場です。

　更に明らかになる、「琥珀」さんと「翡翠」、主人公「遠野志貴」の秘
密。特に、「琥珀」さんと「翡翠」の秘密と、志貴の思い違いには驚きま
した。

　志貴は「琥珀」さんが、昔一緒に遊んでいた元気な女の子で、「翡翠」
が、屋敷の中で寂しそうな目で見ていた無口な女の子だと思っていたけど、
実は逆だったこと。

　そして、「琥珀」さんが、父「遠野槇久」から受けていた仕打ち。そんな
双子の姉妹が持つ、特殊能力。

　そんな中、迎えるエンディング。

　全ては、たった一人の女性の作り上げたシナリオ通りにことが進んでい
たのです。

翡翠・グッドエンド感想

　遠野当主として、その力を振るい、異端の者として覚醒した自らの兄、
「シキ」を倒そうとする秋葉。

　ただ、そんな最中に、ふとした隙により、秋葉が怪我を負いました。
（この辺りはネタバレなので伏せます）

　逃げていく、「シキ」を追っていったのは、我らが主人公「遠野志貴」。
しかも、志貴君は「直死の魔眼」状態で、まさに殺る気まんまんの状態。
　勝負はいともあっさりとついてしまいました。

　でも、これで全てが終わった。志貴がそう思った時、「シキ」の最後の
言葉に、更なる疑問が生まれてしまいました。

　「お前、誰だ？」
　「お前が志貴か。何だ、聞いていたのとまるで違うじゃないか」

　その言葉を胸にしまい、元の日常へと戻っていく「志貴」「秋葉」「琥
珀」「翡翠」の四人。

　全てが終わったと思ったけれど、少なくとも「志貴」だけは判っていま
した。

　まだ、終わっていないと。

　そして、そんなある日。

　自室の机の上に、手紙が置いてあるのを見て、ついにその時が来たかと
思い、指定された場所におもむく志貴。

　もちろん、手にはナイフを持って・・・

　そして、待ち合わせの場所待っていたのは・・・「琥珀」さん。

　ここで、全ての謎が明らかになります。

　このシーン。はっきりいって、この物語の中で一番怖くて、悲しくて、
切なくて、そして寂しいシーンですよ。

　まさに気分は火○サスペンス劇場か、土○ワイド劇場といった感じで。
（どういう例えだよ、おい！）

　ともかく、この月姫という物語において、全て裏で見えざる糸を引き、
こうなるように仕向けていた黒幕の正体、それが「琥珀」さん。

　理由は、まさにサスペンス劇場。（笑）←笑う場面じゃないんだけど。
　いつも笑顔を浮かべていた「琥珀」さんは、自らを壊れた人形と言い、
全ての罪を独白します。そこに「翡翠」も駆けつけ、色々と話をしますが
平行線のまま。

　そして最後に、「琥珀」さんは自ら毒を飲んで命を散らすことに。

　だけど、志貴は最後に「直死の魔眼」の力を発揮し、以前「さっちん」
の血を殺した要領で「琥珀」さんの毒を殺し、「琥珀」さんは命を取り留
めました。ただし、過去に起きた全ての記憶と引き替えに。

　辛い過去を忘れ去り、新しい名前まで与えられて生きていくことになっ
た「琥珀」さん。

　そして、そんな姉を慕い続ける妹の「翡翠」。

　それが幸せなのかどうかは判りません。

　ただ、未来は明るいことでしょう。

　悪夢は過ぎ去ったのですから・・・一人の女性の記憶ともに。

翡翠・トゥルーエンドエンド感想

　こっちの感想は、あまり書きたくないですが、そうもいきませんよね。

　ということで、一応書きます。

　大まかな流れは、「グッドエンド」とほぼ同じ。

　ただし、「シキ」との戦いの際に「琥珀」さんをかばった秋葉は、ほぼ
即死という程の傷を負わされ、志貴の前で命を落とします。

　怒りにくれた志貴は、シキを抹殺し全てが終わると。

　そして、ある日の「琥珀」さんに呼ばれた志貴。

　そこで明らかになる事実は、すでに上記で書いた通り。

　こちらのエンディングの場合は、全て「琥珀」さんの思い通りにことが
運んだということでしょう。

　そして、最後に「琥珀」さんは、短刀で自らの心臓を・・・　実に悲し
い結末です。

　結局、「遠野家」に残ったのは、志貴と翡翠の二人だけ。お互いに寂し
さを感じつつも、日々を過ごしていく二人。

　そして、最後に翡翠の手から離れ、空へ舞っていく姉の白いリボン。

　実に、悲しいエンディングでした。

最後に

　ということで、翡翠シナリオを終了。

　どちらかといえば、「琥珀・翡翠」シナリオとも呼ばれるので、出番は
「翡翠」もあるんだけど、完全に「琥珀」さんに食われちゃってますね。

　上でも書きましたが、気分は「火○サスペンス劇場か土○ワイド劇場」。

　それにしても、入れ替わっていた双子。

　そして、裏で糸を引いていた黒幕の正体。

　その理由と結末。

　複線の貼り方といい、とんでもなく秀逸な物語でした。

　あ、あと、全てを白状した「琥珀」さんの、あの冷たい目。

　いつも笑顔を絶やさなかった「琥珀」さんとは思えないほどの表情。

　正直、血の気が引きましたよ。

　さて、残りは正真正銘の「琥珀」シナリオ。

　いよいよ最後です。