感想（望月綾芽）

　本作サブヒロイン（ただし、ほぼ主役級）。
　無表情・無感情、他人に自分の心を見せず、他人を拒絶し、自分自身す
らも拒絶しているという少女。

　当然、クラス内では爪弾き状態であるが、本人はそれを何とも思ってい
ない。

　また、他人への無頓着さから疎まれる傾向にあり、気にくわないという
理由でクラスメートから、嫌みや意地悪をされるものの、逆に高圧的な表
情を表して無視するという行動を取るために、更に嫌われるという悪循環
を生み出している。

　しかし、彼女自身がそうなったのは、もちろん原因がある。そして、そ
の原因というのが永遠の世界。

　本作品では、おそらく一番前作に近いシナリオだろう。

感　想

　上でも書いたのだが、このシナリオは一番前作に近いシナリオだった。

　序盤は、彼女へのアプローチから始まる。主人公が、何故か彼女に惹か
れ、何かと行動を共にするようになっていくのだが、当然相手にもされな
い状況が続く。

　こういうキャラ相手の主人公というのは、とにかく「しつこく付きまと
う」というのが常識なので、当然のことながらその形で物語りが進んでい
く。

　でも、物語を進めていくうちに、主人公が何故彼女に惹かれるのかとい
う原因が徐々に明らかになっていった。

　夢の中に現れる、綾芽そっくりの女性。

　その女性と綾芽との繋がりが判らない上に、綾芽は主人公を拒絶し続け
るので何も判ってこない。

　いい加減しびれを切らした主人公が、綾芽に感情を爆発させるが、それ
でも彼女は心を開かない。

　見てるこちらとしても情報が小出しの状態なので、これという確信がな
く、それが逆にやきもきさせられる状態となっていた。

　しかし、中盤で夢の中の女性と綾芽、更に主人公の関係が明らかになる
と同時に、それまで繋がることの無かった点が一本の線となった。

　永遠の世界へと旅立った女性。

　そして、それを唯一知り得る綾芽。

　忘れてしまった主人公。

　永遠の世界へと旅立った者は、絆ある者の記憶にしか残ることはないと
いう前作の流れがここで示される。

　ここの時点で、「ああ、この物語はONEそのものだな」と思ったものだ。

　そして、あることがきっかけで、主人公と綾芽の間に変化が見られた後
は、一時の幸せが訪れた時、安堵感が生まれた。

　なお、ここでこのシナリオの名シーンがある。それは、一夜を共にした
（お当番シーン）あと、綾芽と主人公が学校に遅刻状態で、二人揃って教
室に入るシーン。

　当然、嫌われてる連中からの罵倒があるのだが、それに対してそれまで
無視してきた綾芽が一喝。

「一緒にいたわ、ずっとね。悪い？」（著作権のため、一部改ざん）

　その力強さと、それまで見せたことの無かった言動に、一同騒然。

　ちなみにこの瞬間、綾芽に惚れた人が何人もいたらしい。
（実際、このシーンはのたうち回るくらい、「くぅ〜」って来るよ）

　とまあ、こんな感じで物語はめでたしめでたし・・・で終わるはずが無
かった。

　幸せ絶頂の綾芽に、ふいに訪れる出来事。

　突然空を見上げて、驚きの表情を浮かべる綾芽。

　前作をやった人間ならば、それが何を意味するか判ってますよね。

　初めて絆を求めて、そしてそれが成就してしまったこと。

　きっと綾芽は、自らを拒絶していた時点で永遠にとらわれていたのだと。

　そして、希薄になっていく綾芽の存在。

　その存在を、何とかつなぎ止める主人公。

　それでも、止めることが出来ない永遠への旅立ち。

　この辺りに来ると、もう気分的には「きたきたきたきた」って状態。

　いえ、悲しいとかそういう感じじゃないんですよね。前作をやってる人
なら、ああ、そうなって当然だなっていう展開だし。

　そして、最後はもう前作通り。

　エンディングへの持っていき方とＢＧＭの使い方はうまかったかな？

　主題歌を最後に持ってくるのって、このシナリオだけだしね。

最後に

　物語全体を通してみると、永遠の世界という制約をうまく交えた物語で
したね。

　途中、夢の中で語られた「永遠の世界へと旅立っていた少年」の話が出
た時は、背筋に寒気が走りましたし。（内容は明らかに「折原浩平」だ）

　しっかし、こういう拒絶系ヒロインって、心開いたあとってのは可愛く
てしょうがないですね。

　いや、だから、こういうキャラ好きなんだけど。

　一応、私の中ではＮＯ１キャラでした。