感想（十条紫苑シナリオ）

　さて、ヒロインのラストを飾るのは、パッケージ等、あちらこちらで、そ
の存在感をアピールしている「十条紫苑」様！

　彼女は瑞穂ちゃんと同じクラスであり、また瑞穂ちゃんが男であることを
あっさりと見破った慧眼の持ち主。

　もっとも、その理由を知っても知らなくても、瑞穂ちゃんに協力するとい
う慈悲深きお姉さまです。

　でも、それもそのはず。彼女は体が弱く、一年留年しているのですが、実
は昨年度のエルダーシスターに選ばれたという才覚の持ち主。

　寛容を旨とする、この学園を代表する生徒の一人なわけですね。

　性格は、とにかく温厚で、まるで母性の塊とでも言って良いくらい素敵な
女性。でも、時々イタズラ心を出したりする可愛い面を見せたりもします。

　身長は女性にしては異様に高く、モデル並。というか、男である瑞穂ちゃ
んとほぼ同じ背の高さ。

　その上、美しい美貌を持っているので・・・時々バックに薔薇が出ます。

感　想

　ある意味、この物語のメインヒロインに位置するであろうお方なので、と
にかく共通シナリオを含め、様々なシーンでその存在感をアピールする紫苑
さん。

　そんな彼女も、実は留年というハンデと、昨年度のエルダーという二つの
事象があるため、クラスの中ではある意味浮いた存在になっていました。

　けれど、そこへ何も事情を知らない瑞穂ちゃんが転校してきて、そして友
人となることで、紫苑さんの存在が浮き彫りになったと。

　つまり、もう瑞穂ちゃんがいないと、彼女はどうにもならないキャラだと
いうことですね。

　もっとも、その他にも何か秘密があるようで、個別シナリオに入る前まで
に、様々なシーンでその物憂げな表情を垣間見ることになります。

　そして個別シナリオ突入と同時に明かされる、彼女の悲しい運命。

　心臓の病。名ばかりで没落した実家。そしてその実家の名声を手に入れよ
うと裏で動く者達。

　個別シナリオを進めれば進めるほど、彼女の悲惨な運命を目の当たりにす
ることに。

　というか、他のヒロインを攻略していた時点で、紫苑さんはその悲しい運
命に晒されていたということに。

　う〜ん、こう考えると胸が痛みます。

　でも、個別シナリオに入ってしまえば、そんなおとを見過ごす我らが瑞穂
ちゃんではありません。

　心臓の手術をするため、再び入院してしまった紫苑さんを元気づけるため
に、クラスみんなで励ましに言ったり、彼女の実家の名声を手に入れようと
いう輩（実はヒロインの一人、厳島貴子さんの実家の連中）を相手に、正面
から戦いを挑んだりと大活躍！
（卒業後、無理矢理結婚させられる所を、瑞穂ちゃんが横から奪い取ります）

　そう、こんな素晴らしい、誰からも愛される聖母のようなお方が、悲しい
運命に晒され、そして流されていくのを黙って見ていることなど出来るでし
ょうか！

　ということで、終盤はもう瑞穂ちゃんに甘えっぱなしの紫苑さん。

　それは自らの運命の扉を閉じてしまった彼女が、瑞穂ちゃんによってその
扉を開けられたためによること。

　それが「第八話」の副題になっているんでしょうね。

　そして、めでたく瑞穂ちゃんと婚約をした後、二人揃って留年し、今度は
二人揃って同じ大学に進みます。

　そこでは一年早く、その大学に進んでいた「貴子さん」が！

　この貴子さんは、相変わらず実家が大嫌いのようで、今回の紫苑さんを助
けるのに、大きな力になってくれました。

　そして留年した二人を出迎えたのも、この貴子さんと。

　う〜ん、紫苑さんシナリオなのに、美味しいところを持っていきますね。

　どちらにしろ閉じられた扉は開かれ、その先に待つ明るい未来へと紫苑さ
んは歩み出しました。

　そう、瑞穂ちゃんといかけがえのない人と一緒に。

最後に

　シナリオ的には「貴子さん」と並ぶくらい良いシナリオでした。
　ただ、個性という面で行くと、貴子さんがツンデレ属性の上、終盤はギャ
グに走るという芸当を見せてくれたので、少々盛り上がりに欠けたかもしれ
ません。

　でも、良い物語であったことに変わりはないですね。

　それに、お二人の並んで歩く姿はもう、見る者を虜にするほど似合ってま
すから。

　どうぞ、お幸せに！