感想（夢十夜「黎明」）

　「夢十夜」ラストである十番目のシナリオが、この「黎明」です。

　内容は月姫本編で、序盤でのネロとの戦いの中、たまたま偶然通りかか
ってしまった為に、ネロに喰い殺されてしまった名も無き少女のお話。

　今まで「夢十夜」の内容は、まるで本編と関係の無い方向へ走り出して
る中で、この作品だけは秀逸。

　何しろ月姫シナリオ担当である、「奈須きのこ」氏が、「俺いらない」
と言わせたほどの作品。

　ファン投稿作品とは思えないほどの設定と、作品の出来映えに正直凄い
と思いました。

感　想

　感想ですが、もう凄いの一言。

　まず、物語は本編で、志貴の体を修復したネロの断片が蘇る所から始ま
ります。

　そして、その断片はネロによって喰い殺された少女の意志で、かつて自
分が生活をしていた家へと向かいます。

　ですが、すでにその姿は少女のものではなく、ネロの残骸。当然のこと
ながら、アルクェイドやシエル先輩に気付かれて戦いに。

　当然のことながら、志貴もその戦いに身を投じますが、最後のトドメを
刺したところで、少女の妹が叫び声と共に登場。

　すでにネロの残骸となり、志貴にとって死点を貫かれた少女は、最後に
姉として妹に言葉を伝えました。

　ここまでの流れだけでも、かなり感動もの。この後、まだ物語が続いた
ら完璧に泣かされてましたよ、私は・・・

　いや、とにかくもう、これはプレイしてみなきゃ判らないでしょう。

最後に

　いやはや、これを作った人って凄いですよね。

　そもそも、月姫本編においてネロに喰い殺された少女の描写なんて、僅
か数行しかなかったんですから。

　その僅か数行から物語を構築して、月姫の本編の物語に照らし合わせ、
そして本編に劣らぬ内容に仕上げたんですから。

　とにかく、このラストシナリオは「赤い鬼神」と共に必見。

　ああ、こういう物語を作ってみたいですねぇ。