感想(夢十夜「タナトスの花」)


以下、ネタバレが含まれてます。
未プレイの方は、
以下の文章を読まないことをお勧めします。


閉じられた欲望渦巻く世界

 「夢十夜」七番目のシナリオが、この「タナトスの花」です。

 え〜、一言で言えば、エロシーンだけ。そっち方面が嫌い(まあ、この
手のゲームやる人で、これが嫌いというのは少ないでしょうけど)な人は
ちょっと遠ざかる傾向にあるかなというシナリオ。
 ただ、表面だけを見ればエロのみなんですが、シナリオの根元にあるも
のを考えてみると、意外な面も考えられたり。
 いえ、ただ単にそういう気がするなってだけなんですが。

感 想

 さて、まず舞台は、遠野家の屋敷。屋敷の中には、志貴と翡翠と琥珀さ
んだけが住んでいる。
 他には誰もいないし、誰もやってこない。屋敷の外に出るわけでもなく、
また出る必要もない。ただ、一日を屋敷の中で過ごす志貴達。
 この世界(おそらく夢の世界)において、世界にあるのはこの屋敷だけ
で、その中でただ何もすることなく、あるとすればたまに起きる欲望とい
う名の衝動を、自由気ままに満足させることのみ。

 ある時は翡翠と。
 ある時は琥珀さんと。
 そして、またある時は二人同時に。

 まさに、欲望を満たすだけの世界。そして、それをすることを志貴は許
されていて、翡翠も琥珀も、それだけの為に存在している。
 そして、それぞれが幸せのみを感じている。
 エロが基本となっているけど、全体的な世界観を見てみると、初めに書
いた通り、結構な設定になってるかなと。
 幸せだけがある世界。
 それが、例え端から見て不幸に見えても、全員が幸せであれば、それは
幸せなのだという物語。
 エロシーンに隠されてしまいがちですが、そんな設定が垣間見えるシナ
リオでした。

最後に

 幸せな日常。
 私なりに解釈すると、ただ幸せのみが存在する世界というのが、このシ
ナリオの元になってるんじゃないかなと思いました。
 それが、例えどんな形であったとしても。
 人の幸せ・・・それは、人の数だけ存在しています。
 だからこそ、何がどう幸せなのかを他人が言っていいものではありませ
ん。
 より良い幸せがあるかもしれません。でも、それを知らずとも幸せであ
るなら、それはその人にとって最上の幸せなのですから。
 そんな思いを感じたシナリオでした。

 エロシーンのみに捕らわれがちですが、こういう方向で見ると面白かっ
たです。


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