感想（夜の聖杯戦争５）

　ループする日常に気がついたバゼット達。

　基本的に今まで戦うことを前提にしていただけに、この件に対する調査
はおそらく今回が始めてになるのでしょう。

　そして、その足がかりとしてバゼット達が目をつけたのは、未だに出会
っていない「アインツベルンのマスター」でした。

　アインツベルンってことは、「イリヤ」ですねぇ。

　ということで、バゼットは何か手がかりが無いかということで、イリヤ
の住むアインツベルンの森へ行きました。

　ところが、アヴェンジャーは「やめようぜ」とあまり気乗りがしない様
子。もっとも、そんなやる気の無い態度はいつものことなので、まるで相
手にしなかったバゼットですが、それは森に入ってしばらく経ったときに
その身を持って知ることになりました。

　ええ、そうです。森には番人がいましたよね。

　昼間でも森の入口で、仁王立ちしてる凄いのが。

　ということで、バゼット達は「バーサーカー」と遭遇。城を目指して全
速力で逃げることになりました。

　追いかけてくるバーサーカーは、まあ前作でもそうでしたけど、まさに
除雪車か掘削機かという感じで、大木だろうが茂みだろうが、構わず破壊
して進んできます。

　アヴェンジャーは、もう追いかけっこが始まった時から、勝てる相手じ
ゃないと判っていたので、逃げるのも早い早い。

　バゼットも、さすがに、あの「バーサーカー」ですから、無理に戦いは
せずに逃げることとなりました。

　ただ、隙を見ては自らの方具「フラガ・ラック」を繰り出すので、諦め
てはいない様子。ところがどっこい、それも最初の一回だけ。何しろ、攻
撃が直撃しても、バーサーカーは止まりません。まあ、１２の命があるわ
けですから、２つや３つ無くしたところで、なんとも思いませんよね。

　バゼットも、そんなに何度も「フラガ・ラック」を連発できるわけでも
ないので、とにかくあとはひたすら逃げるだけ。

　途中、再度のフラガ・ラックによる攻撃で、バーサーカーの足を止めた
隙に、近くにある廃屋の中に逃げ込むことに成功しました。

　もっとも、こんなところに隠れていても、すぐに見つかってしまうでし
ょうから、急いで城まで行く必要があります。

　しかし、ここでアヴェンジャーから提案が。それは、「自分が足止めと
してここに残るから、バゼットは先に城を目指せ」とのことでした。

　その意外な提案に言葉が出ないバゼット。

　何しろ、「死ぬ」のが判っているんですから、絶句するのも当然です。

　生真面目なバゼットは、当然その提案を拒否。ところが、珍しくアヴェ
ンジャーは引きません。

　というのも、アヴェンジャーの足には大きく抉られた傷がありました。

　どうやら、バーサーカーの攻撃が僅かにかすったらしいです。

　ええ、あのバーサーカーですから、かすっただけでそりゃ凄い傷になる
もんですよ。

　ということで、もはや全力で逃げることの出来ない自分は、ここに残っ
て足止めをし、その隙にバゼットが単騎で城を目指すのが一番最良の方法
だとアヴェンジャーは提案してきたのです。

　けれど、イマイチその提案を受け入れることが出来ないバゼット。

　気に入らないといいつつ、これまでずっと戦ってきた相棒なので、死ぬ
と判っている戦場に一人置いていくのが忍びないようです。

　この辺も、バゼットの性格が出てますね。

　でも、それも判った上で、アヴェンジャーは強くその提案を押してきま
す。この４日間のループから抜け出す方法を見つけるためだと。

　そして、散々迷った挙句、バゼットはアヴェンジャーに一言声をかけて、
城を目指して走り始めました。

　そんな様子を見て、一人ため息を付くアヴェンジャー。

　普段、憎まれ口を叩いているけれど、さすがにバゼットの態度が身にし
みたようです。

　さて、そんな中、アヴェンジャーは武器を取り出します。

　そう、もうすぐそこまで、バーサーカーの叫び声が聞こえてきているか
ら。

　死ぬのが判っている状況で、それに挑むアヴェンジャーの決意。

　う〜〜〜ん、何だか格好良いぞ、アヴェンジャー。

　さて、一方、アヴェンジャーを犠牲にする形で城を目指していたバゼッ
トは、何とか城まで到着しました。

　ところが、中に入ったとたん、メイドのリズがでっかい武器を振り回し
て侵入者のバゼットを攻撃。

　当然、二人は臨戦態勢となりますが、しばらくして「イリヤ」が姿を現
し、バゼットは客として招かれることになりました。

　どうやら、イリヤにはバゼットが何をしに来たのか判っているようです。

　というか、このイリヤは日常のイリヤとはちょっと違うみたいです。

　例の併行世界のイリヤといった感じでしょう。

　そして、そこで細かな説明をするバゼット。特に４日間のループについ
ては、さすがのイリヤでも判らなかったようです。

　ただ、ここでとんでもないことがいくつか判りました。

　まず第一に、外で追い掛け回されたのは、ただの亡霊・怪物とのこと。

イリヤの側にいる「バーサーカー」ではないようです。

　第二に、ここにいるイリヤはすでに聖杯戦争から脱落しているとのこと。

なぜなら、戦いが始まったと同時に、イリヤはサーヴァントを失ったから
らしいです。

　バーサーカーがイリヤのサーヴァントでない以上、他にどんなサーヴァ
ントがいるのか疑問でしたが、ここでイリヤからとんでもない言葉が。

　イリヤが召還したサーヴァント。

　それは「アヴェンジャー」だということ。

　それを聞いて愕然とするバゼット。

　自分が召還したものと思っていたサーヴァント・アヴェンジャーは、実
は先にアインツベルンのマスターが召還していたのだと。でも、それは戦
いが始まると同時に奪われてしまい、ここにいるイリヤはすでに脱落した
マスターになってしまっていたと。

　この矛盾はなんでしょう？

　あまりにことに頭が廻らないバゼットは、そのまま城を出て行くことに。

　一体、何がどうなっているのか？

　バゼットの脳裏には、そのことだけが浮かんでいました。

感　想

　さて、序盤の追いかけっこで笑わせてもらい、その後の事実に驚かされ
た今回。そもそも、アヴェンジャーとは何者なのか、という点がついに論
点として浮上してきました。

　イリヤが召還したサーヴァントがバゼットのサーヴァントとして存在し
ているという矛盾。

　では、バゼットは一体どうやってアヴェンジャーと契約をしたのか？

　そもそも、それすらバゼットの記憶に残っていないのが、全ての始まり
だったのかもしれません。

　ということで、今度はそれらを調査し始めるバゼット。

　謎が謎を呼び、一つの謎を解くために複数の謎が存在する今回。

　さて、一体何がどうなっているんでしょう？

　まだまだ、物語は続きます。