感想（夜の聖杯戦争３）

　昼と夜。そして、妙な日常。それらが複雑に絡み合った日々が過ぎてい
く中、バゼット女史だけは相変わらず一人、孤独な戦いを続けています。

　で、今回も始まりは蘇生のシーンから始まりました。

　前回同様、目覚めたバゼットさんの傍らには、サーヴァント「アベンジ
ャー」がカチカチとパズルをやっていて、変わらない粗野な挨拶を交わし
ます。

　その前の不快な感覚から、また自分は死んで再び一日目に戻ってきたこ
とを自覚したバゼット。

　でも次の瞬間、徐々に殺される前の戦いの記憶が蘇ります。

　今回、バゼットさんが敗れたのは、人形使いの魔術師とそのサーヴァン
ト「アサシン」。

　相対したバゼットさんは、元々人形使いに対しても戦闘経験があるらし
く、ある程度有利に戦闘を進めていたとのことでした。

　でも身の丈５０ｃｍ程の人形の中に、それが混じっていたのが唯一の不
覚。

　そう、大人の膝丈程度しかないソレは、顔がドクロの面で覆われていま
した。

　これは前作の「桜シナリオ」で出てきた「真アサシン」の特徴。

　体躯はともかく、顔にドクロの仮面を被るのは、アサシンの象徴らしい
です。

　しかも、今回のアサシンは他の人形に混じりバゼットへ接近。この辺は
サーヴァントの特徴と、自身の能力・人形使いという技を組み合わせた見
事な連携でしょう。

　まさか、繰り出される人形の群れの中に、サーヴァントが潜んでいると
は考えにくいですから。（普通は身の丈５０ｃｍの人なんて存在しないし）

　そして、アサシンはまず即効性毒矢（多分、麻痺毒）でバゼットさんの
動きを封じて一気にトドメを刺しに接近してきました。　

　麻痺していく体を感じながらも、接近してくるアサシンに意識を集中す
るバゼット。まだ体が動く以上、バゼットは戦いを諦めていないようです。

　狙うのはカウンター。相手が飛びかかってきた瞬間、残った力・魔力等、
全てを右腕に込めて、一撃必殺のカウンターパンチで勝負を付けるつもり
でした。でも・・・

　最高のタイミングで繰り出されたバゼットの右拳。

　時速にすると８０ｋｍという凄まじい速度での攻撃を、アサシンは何の
苦もなく避けたばかりか、その腕の上にぴょんと飛び乗り、トコトコと歩
いてきます。

　バゼットの心に、そして両眼に驚愕と戦慄が入り交じった次の瞬間、記
憶がぷっつりと途切れました。

　そこまでしか思い出せない、つまりそこで自分は殺されたのだというこ
とがバゼットに理解出来ました。

　バゼットは一応、一部始終を見ていたアヴェンジャーに聞きます。自分
はあの後、どうなったのかと。

　それを聞いて、アヴェンジャーはさも楽しげに答えました。

「アサシンの一撃を受けて死んだ。アサシンが放った攻撃は宝具であんた
の頭はおろか上半身まで吹き飛んだ」と。

　「凄かったぜ〜。ボンって音と共に・・・」と、ケラケラと笑いながら、
楽しそうに解説するアヴェンジャーを後目に、その様子を思い浮かべるバ
ゼット。

　当然、次の瞬間には、凄まじい吐き気が。

　まあ、当然でしょうね。自分の頭はおろか上半身まで吹き飛ぶ様を想像
してみればね

　で、ここでバゼットは落ち込みます。それは、これまで何人もの敵と遭
遇して戦いを行ってきたにもかかわらず、ただの一度も勝利していないか
ら。

　どうやら、バゼット達はこれまですでに何度か死と蘇生を繰り返してる
みたいです。でも、一度も勝利していないと。

　こんな戦い方で、聖杯戦争に勝てるのかと珍しく弱気なバゼット。

　そこを、アヴェンジャーが何故か勇気づけます。

　それは、負けてはいるものの、相手の手の内が確実に判っているという
こと。死んでも蘇生するアヴァンジャーの力により、相手の戦闘方法が戦
うごとに確実に二人の記憶に残っていく。だからこそ、次戦う時の戦略が
とても立てやすいと。

　そんなアヴェンジャーにバゼットが珍しく感心した目を向けます。

　そして、同時に自分を励ましてくれているということも。

　この後、色々とバゼットに関する説明がなされます。

　長いので割愛しますが、彼女は１５歳の時から第一線の戦闘要員として
働いてきたと。

　古い血筋だが、ロンドンの魔術師協会ではその古い血筋が災いして厄介
者扱いに。

　だからこそ、第一線へと送り込まれ、本人は、それは仕方ないことと捕
らえ、周りが反発出来ないように任務を見事に遂行していき、そして今の
ような鉄の鎧を着込んだ男装の麗人となったと。

　でも、アヴェンジャーの見立てでは、内面はとても脆く、ふとしたきっ
かけで崩れ去る可能性を多く持っているとのこと。

　それが災いをもたらすことになるかもしれないということも。

　ちなみにバゼット本人が言っていたけれど、趣味はトレーニングだそう
です。体を鍛え上げることが趣味。自分いじめが大好きだそうです。

　そのことで、またアヴェンジャーからからかわれていました。

　この二人、何だかんだ言って、最後には良いコンビって感じで収まるん
ですよね。

　う〜〜ん、何ででしょうか？

感　想

　と、こんな感じでバゼット＆アヴェンジャーの物語が続いています。

　バゼットさんの過去のこととかも色々と説明があり、なるほどと思うこ
ともしばしば。

　でも、彼女の存在が日常の方にはまるで現れてこないのが少々気になり
ます。

　そして、あるはずのない敵と戦い続けているということも。

　一体、彼女達の身には何が起きてるんでしょう？

最後に

　夜の戦いには謎が多いです。

　特にこの二人の存在は異質。

　本来ありえないクラスである「アヴェンジャー」のサーヴァント。そし
て、死から蘇り続ける二人。

　この二人だけが、まるで別世界で戦っているような、そんな感じさえし
ます。

　この二人はどうなるのか？

　これから、更に謎は深まります。